フレッシュチーズにトマト

: UPDATE /

フランス人の若者とチーズの関係

若者とチーズについて昨年イプソスが15歳から30歳の若者1012人を対象に調査をしました*1。調査では84%が週に一度、30%が毎日食べていると答えています。90%が夕食時に食べ、73%が昼食時に食べると答えています。お隣のドイツやオーストリアではホテルの朝食にチーズが出ますが、フランスはチーズやハムを朝食に食べる習慣がありません。フランスの朝ごはんとして縦に切ったバゲットにバターとコンフィチュールを塗ったもの、飲み物はカフェオレやコーヒーというのがフランス映画に出てきますが、大体あんな感じです。

3人に2人は夕食前のおつまみとして、38%が食後に、10%は夜食に食べていると答えています。ちょっと小腹が空いた時にも、パンとチーズを食ベると答えています。そう言えば、夫や長女も帰宅後、夕食までにお腹が空くと冷蔵庫からチーズを出して食べています。そう言えば、私も子供の頃は一本ずつ個別包装されたプロセスチーズ(同年代の方、分かりますか?)がおやつでした。食事の一部であり、おやつであり、おつまみであり、チーズが日常のあらゆる場面で食べられているのは小さな子も若者も中年もお年寄りも年代には関係ないようです。

若者がチーズを買うのはスーパーの売り場やスーパー内のチーズショップだということも調査結果に出ていました。若い人はマルシェや街中のチーズショップではあまり買わないのですね。もう一つの特徴は、新しい商品に興味があるが、子どもの頃から慣れ親しんだメーカーのチーズを買う傾向があるそうです。例えば、フロマージュ・ブランのメーカーならriansのものをスーパーで一番よく見かけます。

RIANSのフロマージュ・ブランRIANSのフロマージュ・ブラン

チーズを朝食に食べないフランスでもフロマージュブランは例外です。朝食にも小腹が空いた時にも食後にも食べられていて、どこのスーパーでも買えます。ヨーグルトほど酸味がなく、生クリームほどこってりせず、フレッシュで爽やかな味わいが年齢を問わず人気です。

品名 La Faisselle
種類 フレッシュタイプ
産地 ベリー地方
原料 牛乳、生クリーム

*1:イプソス(パリが本拠地のリサーチ会社) 若者は相変わらずチーズが好きです!
Le fromage a toujours autant de succès auprès des jeunes!
https://ipsos.fr/decrypter-societe/2016-04-06-fromage-toujours-autant-succes-aupres-jeunes
フランス語のみ

フレッシュチーズにトマト

イプソスの野菜と果物に関する別の調査ではフランス人は特に夏に果物と野菜とよく買っているとありましたが、我が家も夏はメロンにスイカ、桃やアプリコットなどを毎週のように買い、地中海沿岸で過ごす7月後半から8月前半はトマトが毎日のように登場します。

ギリシャ風サラダ(ホリアティキサラダ)ギリシャ風サラダ(ホリアティキサラダ)
トマト、キュウリ、赤タマネギ、黒オリーブ、フェタチーズ、塩こしょう、オレガノ

和食のだしや醤油や味噌が肉や魚のおいしさを引き出すように地中海周辺の料理ではトマトと肉や魚、チーズがお互いを引き立てあい、おいしさを増す料理になります。我が家でもフレッシュチーズのフェタとトマトを合わせたグリークサラダ(上の写真)や牛肉入りのラビオリ、ラビオリ・ア・ラ・ドーブにトマトソースを合わせた料理をいただきます。トマトと合うフレッシュチーズでもっとも有名なものにモッツァレラチーズがあります。チーズは単体でもおいしく、食材や調味料として使っても力を発揮する優秀な食品ですね。

ギリシャ風サラダ(ホリアティキサラダ)ラビオリ・ア・ラ・ドーブ(ドーブは肉の煮込み料理)
品名 フェタ(ギリシャのもののみ「フェタ」、AOPの呼称が許される)
種類 フレッシュタイプ
産地 ギリシャ
原料 羊乳、一部山羊乳を使用する

偽物のトマト?

Coeur de boeuf(クール ドゥ ブッフ=牛の心臓)という種類のトマトが人気です。皮が薄くて生で食べても加熱してソースにしてもおいしいです。ただ人気がありすぎてか、味が少ないクール ドゥ ブッフにがっかりさせられることも少なくありませんでした。

トマトが大好きな夫は、この夏八百屋さんから話を聞いて、偽物のクール ドゥ ブッフが大量に出回っていること、そして偽物と本物の違いの見分け方が分かったといいます。(個人の見解ですので真偽に関しては責任を負いません。)

本物はハート型に近く、大きさがバラバラ、上のヘタの方が黄色っぽくなっていますが、偽物はずんぐりしていて、全体的に真っ赤で、プリーツがたくさん入っています。コラムを書くにあたり、ネットで検索をしていたら「なかなか見つからない「クール ドゥ ブッフ」という記事*2がフィガロのネット版に掲載されているのを見つけました。私のように「最近、このトマトがおいしくなくなった」と思っていた人が多いのでしょうか。関心が高いんですね。

トマトの摂取量に関するFAO(国連食糧農業機関)の調査結果も「へえ〜」と思うかもしれません。カゴメのホームページでみましたが*3国別のトマト摂取量はリビア(150kg / 年・人)、エジプト、ギリシャ、チュニジア、トルコ、イタリア(60kg
/ 年・人)、スペイン、ポルトガル、アメリカ、中国、ロシア、フランスの順で、日本は世界平均よりもはるかに少ない8.3kgだそうです。地中海沿岸国が多いですね。ちなみにトマトで2位のエジプトは数年前調べた際にチーズ消費量が世界一だったと記憶しています。エジプト料理、なんとなくイメージが湧いてきました。

今回は熟成させないで作るフレッシュチーズとトマトのことを取り上げました。ミルクを温めて乳酸菌や酵素を加え、その後水切りをする工程でできるフレッシュチーズのフロマージュ・ブランは、熟成チーズとは違う魅力があります。フランスでは赤ちゃんの離乳食としても食べられているフロマージュ・プランの優しく繊細なミルクの味わいを皆さんにも楽しんでいただきたいです。今回のコラムも最後まで読んでくださりありがとうございました。

左が偽物、右が本物左が偽物、右が本物

*2:Figaro記事 なかなか見つからない「クール ドゥ ブッフ」
Recherche tomate , déséspérément…
http://www.lefigaro.fr/jardin/2014/08/01/30008-20140801ARTFIG00058-recherche-tomate-coeur-de-boeuf-desesperement8230.php
フランス語のみ
トマトの比較写真は フィガロのウェブ記事*2から借用させていただきました。

*3:カゴメのサイト国別に見るトマトの摂取量
http://www.kagome.co.jp/tomato/tomato-univ/itnl/ingestion.html
日本語

五条ミショノウさやか

2004年からパリに在住。 家族は夫と娘が二人。 業界誌や講演録などの英日翻訳をしています。