バカンス スキー編

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スキーバカンス

以前にフランス人にとってのバカンスの重要さに少し触れましたが、フランスの学校には日本人にはビックリのたくさんの休みがあります。

9月に新学期が始まって、さっそく10月に2週間のToussaint(諸聖人の日)の休み、12月には2週間のクリスマス休暇、2月に2週間の冬休み、4月に2週間のPaques(復活祭)の休み、そして2ヶ月の夏休み。つまり合計年間4ヶ月学校がないのです!バカンスがかかっていない月は6月ぐらい。こうやって子供の頃からバカンスのある生活に慣れていくのでしょうか。

そして一番ビックリなのは2月にある冬休み、通称スキーバカンス。は?聞き間違いではありません。スキーをするために学校は休みなのです!!

ということで今回はフランスでのスキーバカンスについてご紹介したいと思います。

Avoriaz (アボリア)

今回私たちが訪れたのはジュネーブから車で1時間半、Haute-Savoie(オート・サボア)県にあるアボリアというスキー場。木の外装で統一されたレジデンスが立ち並ぶ、スキー場というよりは村といった感じのスキーリゾート。

このスキー場は入り口からは車の乗り入れ禁止で、移動は馬がひくこのソリがタクシー代わり。雪の中、鈴を鳴らしながらソリが通っていく様子はサンタクロースが本当にいるような気に。

この写真に写っている建物が全てレジデンス。一階がお店やレストランになっています。温水プール、スケート場、ボーリング場、映画館まであり一大リゾート地です。
スキーのレンタルショップもたくさんありリーズナブルに借りることができ便利。

 

崖の上にある私たちのレジデンスからの眺め。夜は満点の星でした。

フランスのスキー場

Portes du Soleilというエリアにあるこのスキー場、このスキー場だけでも十分広いのですが(ゲレンデの総長38km)リフトを乗り継げば近隣のスキー場にもアクセスできスイスへも滑って行けます(総長250km!)。

リフトからの眺め。日本のスキー場とは違ってゲレンデが広くて開放的。初心者でも山の上から下まで滑ることのできる長いコースがあります。
滑っていると、ここは初心者用じゃないだろう…という部分もあるのですが…。

ヨーロッパのスキーリゾートといえばこれ!スキー場にもカフェのテラス席。寒くてもみんな外の席を選びます。
よく晴れたゲレンデで冷えた体にVin Chaud(ホットワイン)を飲んでいると…これぞバカンス!という気分に。

面白かったのがスキーウエア。日本人と違ってあまりこだわらないフランス人。みんな同じスポーツショップチェーンで買っているので(安い)、みんな同じマーク。自分と同じウエアもあちこちで見かけます。ゲレンデの80%ぐらいそこのウエアでは!?

スキースクール

子供が主役の日本とは違ってフランスは大人中心の社会。海に行ってもビーチに子供を預ける施設があるぐらい。大人は浜辺でのんびり。

スキーでも大人は子供をスキースクールに預けてバカンス満喫です。確かに子供がいると休みと行っても大人がぐったり、ということがありますよね。

私たちも滞在中、子供を半日預けることに。子供はスキーが上手くなるし、大人は自由に滑ることができ一石二鳥。子供は全員ここに預けられているのでは?というぐらい大盛況です。

スクールで小さい時から練習しているからでしょうか、日本ではよく見たゲレンデでは転んでいる人、ボーゲンで滑っている人はほとんでいません。子供でも大人顔負けにパラレルで滑っていました。

サボアの名物

フランスのスキー場、チーズネタには困りません。寒い地域なので脂肪分の高い物を食べる習慣があるのでしょうか?
レストランのメニューにここサボアの名物として絶対に載っていたのが次の3つです。

まずチーズフォンデュ

本場のチーズフォンデュはパンのみ、と聞いたことはありましたが、本当にパンだけ出てきました…。

ラクレット

以前に自宅でできるホットプレートをご紹介しましたが、こちらが本物。金色の部分に電熱線が通っていて、その熱さでチーズが溶けた部分をヘラでこそげ落とします。

チーズをかけて食べるのはジャガイモ。付け合わせとして生ハムやサラミのシャルキュトリー(豚肉加工製品)が付きます。野菜なしです。いえ、きっとジャガイモは野菜とみなされているのでしょう。

タルティフレット

こちらは日本ではあまり馴染みのない料理ですが、ジャガイモと後で紹介するサボアのチーズ、ルブロションというチーズを層にして作ったポテトグラタンのようなもの。

われわれは朝とお昼はレジデンスで食べていたのでよかったですが、スキーに行くとチーズを食べ疲れる…と言っている友人もいました。

サボアのチーズ

今回チーズを買ったのはスキー村に1件あったこちらのAvosaveurs。チーズとシャルキュトリーを売っていました。
最近では旅行先に着くとまずチーズを売っているお店を探すのが習慣に。

このスキーリゾートはほとんどの建物がホテルではなくキッチン付きのレジデンス。こちらのチーズ屋さんでは部屋で食べられるようにフォンデュセットがチーズと一緒に用意されていました。

標高1800M以上という山の上。チーズは保存のきくハードタイプの物ばかり。

 

左:黒っぽい包み紙のReblochon, 中央:Abondance, 右:Tomme de Savoie

アボンダンスAOP

私たちが行ったスキー場を少し下ったところにあったアボンダンスという村にチーズの名前は由来しています。

サボアのチーズはこの地方特有の3品種の牛から採れた乳から作られています。
冬はスキー場になっている山で夏の間牛たちは草や花を食べているのです。

エメンタールのような食感、栗に似た味がし、皮はサザエを焼いた時に感じるような旨味が凝縮されていました。

参考サイト:http://www.fromageabondance.fr

名称 Abondance AOP
産地 ローヌ・アルプ
熟成 2-3ヶ月
重さ・形 5-15kg、円形
サイズ 直径40-46cm、高さ7.5-10cm
タイプ ハードタイプ
上:Abondance, 左:Tomme de vache, 右:Reblochon

ルブロション・ドゥ・サヴォアAOP

8世紀から作られていたそうですが、課税を避けるためこっそり生産、消費されており、名前もそこに由来しているそう。このチーズが知られるようになったのはフランス革命後です。

こちらはウオッシュタイプですが特有の臭みがほとんど感じられません。皮は硬いのですが中身はとっても柔らかく、味も全くくせがなく口当たりも濃厚なクリームのようになめらか。日本人も大好きな味。先ほどのタルティフレットのように暖かくして食べる料理に適しています。

参考サイト:http://www.reblochon.fr

ドゥ・サヴォアとつくということは…と調べてみたらやはり、スイス側にもルブロションというチーズがありました。ラクレット、モンドールなど国境周辺で作られるチーズと同じ宿命ですね。

名称 Reblochon de Savoie AOP
産地 ローヌ・アルプ
熟成 4-12週
重さ・形 240-550g、円形
サイズ 直径9-12cm、高さ3cm
タイプ ウォッシュタイプ

トム・ドゥ・サヴォア/トム・ドゥ・ヴァッシュ

サヴォアのチーズという名前のこのチーズ。その名のとおり、サヴォア地方のこのタイプのチーズを指し、生産者、季節によって少しずつちがうそうです。おそらく先ほどの写真のトム・ドゥ・ヴァッシュも仲間ではないかと。そしてこの曖昧さがAOPがついていない理由かと。

こちらも見た目に反して中身は柔らか。トム・ドゥ・ヴァッシュのほうが少し弾力があり固め。味はどちらも臭みもなく食べやすい。
塩味も軽めでワインがなくてもいくらでも食べられますが、ぜひフルーティーなサヴォアワインと一緒に。

参考サイト:http://www.tomme-de-savoie.com

名称 Tomme de Savoie AOP
産地 ローヌ・アルプ
熟成 1-2ヶ月
重さ・形 1.35-2.7kg、円形
サイズ 直径18-30cm、高さ5-8cm
タイプ ハードタイプ

今回お天気や雪に恵まれたこともあってとても楽しいスキーバカンスデビューとなりました。これを書いているとまたスキーに行きたくなるぐらい…スキーバカンス万歳!

友人のインド人は大人になるまでスキーをしたことがなかったそう。しかし夫がフランス人なのでスキーバカンスに連れて行かれたけど寒いし怖いし痛いし大嫌いと。最近子供が産まれて「これから毎年スキーバカンスに行くと思うとゾッとする」と言っていましたが贅沢な悩みですね。

藤井浩子

夫、息子2人とパリ在住。趣味はミシュランガイド片手に美味しいもの食べ歩き。