Just married

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義弟の結婚

結婚式

花嫁・花婿の移動用ミニモーク(Mini Moke)

9月の第一日曜日に義弟が結婚式を挙げました。
南仏サントロペのカトリック教会式に続き、サントロペ・ゴルフ場の空と丘を望む屋外会場で、ユダヤ教のセレモニー。アメリカ人でカトリックの信徒の義妹、フランス人でユダヤ教徒の義弟は神父とラビ(ユダヤ教の教師)両方から祝福を受け、フランスでも非常に珍しい結婚式を挙げました。コロナ禍で2度結婚式を延期した2人は、南仏の陽光を背景にひときわ輝いていました。からりと晴れた9月初めのサントロペは、まるで夏休みの延長。誰もが会話を楽しみ、笑い、この一年半のコロナ禍をひととき忘れることができました。
結婚式

披露宴のテーブル

コロナとの共存

結婚式で集まった全員が、携帯電話のAnti-Covidアプリに入れた、ワクチン接種証明のQRコード「衛生パス」(pass sanitaireパス・サニテール)をホテルやレストランはもちろん、式場でも見せました。公共施設や飲食店に入場する際のこのような厳しい管理に、私自身は安心できますし、同じように感じるフランス人が多いと思います。南仏に滞在した200人足らずの招待客は、式後3週間経つ今も、誰1人としてコロナにかかっていません。これは、ワクチン及び衛生パスが効果を挙げている証拠と言っていいのではないでしょうか。
ワクチン接種証明のQRコード衛生パス

L’Arc de Triomphe, Wrapped ラッピングされた凱旋門

現在ワクチンを2回接種した人が人口の7割を超え、パリには賑わいが戻りつつあります。アートの催しも展覧会からアンティークのオークションまで様々に行われるこの秋、2021年9月18日から10月3日まで、パリの凱旋門がラッピングされ注目を集めています!アーティストのクリストとジャンヌクロード夫妻が1960年代から構想し、数々のスケッチやコラージュを残した企画がコロナ禍で一年の延期を経て、公開中です。クリストは残念ながら昨年亡くなりましたが、クリスト財団が遺志を引き継ぎ、作品を売却するなどして資金の1400万ユーロ(18億円)!!を、自己調達して公開にこぎつけました。
ラッピングされた凱旋門
L’Arc de Triomphe, Wrapped ラッピングされた凱旋門
アルミニウムを吹きつけた25000平方メートルの青いリサイクル可能な布で覆われ、3000メートルの赤いロープがかかった凱旋門は不思議です。宵の空に浮き立ち、今にも歩き出しそう。
パリ生まれの友人や親戚は、この企画で初めてチケットを買って凱旋門の屋上に登ったそうです。私が行ったのは週末だからか、凱旋門から放射状に伸びる12の道路に交通規制がかけられ、周囲が歩行者天国になっていました。ナポレオンが建てさせたモニュメントに朝・昼・晩の光の具合で色合いを変える「布」でおおわれた凱旋門は今だけです。加工していない写真ですが、なんだかコラージュみたいだと思いませんか。
凱旋門の屋上から
凱旋門の屋上から

めずらしいチーズとおなじみのチーズを紹介

めずらしいチーズとおなじみのチーズを紹介

①トゥール・ド・モント(Tour du Montot) 左下

ブルゴーニュ=フランシュ=コンテ地方のモント農場*で作られています。こちらの農場では、春になるとヤギの生乳からフレッシュチーズを作っていますが、18~20日熟成させると、写真のように一見硬そうに見える、でも実際は口の中でとろけるトゥール・ド・モントになります。8リットルのヤギのミルクから作られ、その大きさとはっきりした塩味、複雑な味わいが特徴です。

*モント農場
ソーヌ・エ・ロワール(Saône-et-Loire)県のウードリー村で230ヘクタールの敷地に、300頭のヤギを飼っている家族経営の農場。
数世代にわたりシェーブルを数種類とシャロレー種の肉牛を生産している。農場ではチーズの直売もしているようです。

② ブリー・ド・モーAOP 左奥

チーズが好きな人で、ブリーが苦手な人っているのでしょうか。そのくらい「チーズの王様」はフランスの誰もが好きなチーズです。パリの近郊イルドフランス地域圏のブリー地方が主な生産地です。

③ エルキュール Le Hercule 右奥

MOF(フランス国家最優秀職人)のフレンチのシェフ、ドミニク・ブシェ(Dominique Bouchet)が作った羊、ヤギの乳を合わせて作ったハードチーズ。あまり見かけないので、見つけたら買ってみて、損はありません!ナッツ、バターの香りが後を引くおいしさで、非常にバランスのとれた味です。シェーブルのクセやブルビ(羊のミルクのチーズ)のコッテリさがあわさって打ち消され、洗練された味わいに。気に入りました!

④ カンタル cantal 右の真ん中

熟成期間30〜60日のものは、ジョンヌ(Jeune)、90~210日間のものはアントル・ドゥー(Entre-deux)と240日のものはヴュー(Vieux) と呼ばれています。写真のものは、アントル・ドゥー(Entre-deux)つまり「中くらい」の熟成と呼ばれるもののよう。フランス語にミキュイ(mi-cuit)半分火を通したという表現もあり、食品や料理など味覚がかかわる領域では「ちょうどよい加減」のバランスが求められるのですね。

参照:http://www.aop-cantal.com/le-fromage-cantal(カンタルAOP仏語HP)

⑤ ルーエル Rouelle 右下

中央に穴の開いた円盤形のシェーブル。タルン(Tarn)県で、ヤギの生乳を使って作っています。このシェーブルはこれまでに各種のチーズ賞を受賞しています。天然の外皮には木炭粉がまぶしてあり、灰色のカビが生えています。真っ白な中身は均質でパンに塗って食べられる柔らかさ。程よい酸味と軽くナッツのような味わいもあります。
食事の締めくくりにタイプの違うシェーブル、例えば先に紹介したトゥール・ド・モントやシャロレーAOP、または栗の葉で包まれたバノンなど見た目の異なるシェーブルと盛り合わせると楽しいかもしれません。バゲットが合いましたが、レーズンやくるみの入ったパンと合わせるのも良さそう。

⑥ コンテ(Comté)AOP 24ヶ月熟成 真ん中

ご存知フランス人に人気のコンテ。熟成が進み、写真のように中身が黄色になったコンテは特においしいです。黄色いのは、牛が牧草地のカロチンが豊富な草花を食べるからだそう。写真のように24ヶ月の長期熟成させたものは甘味と味がより複雑で深みを増します。噛むとアミノ酸の小さな結晶が感じられるものも。フランスに数あるAOPチーズの中で最も生産量が多く、(なんとフランスの乳製品生産者協会のサイトには珍しく)日本語のウェブサイトもあります。https://www.comte.jp/ 

Just Marriedから20年

皆さんが秋に思うことはなんでしょうか。物思い?それとも、緊急事態宣言の解除後のプラン?私は、、、この9月で結婚して20年経ちました。夫婦になってから長女の誕生、パリへの引っ越し、次女の誕生、転職(夫)、翻訳業開始(私)、新居の購入、飼い犬の看取り、子供たちの幼稚園の入園から長女の高校卒業と、この20年ありふれた夫婦の私たちにも、「いろいろあったなあ、、、」と回想する暇はまったくない毎日です!しかし、これを人生の充実というのかもしれません。
義弟の結婚式に参列していて、私たちもちょうど20年前、双方の両親を始め、親戚や友人など多くの人に祝ってもらったことを思い出し、ありがたさで胸がいっぱいになりました。人との関係性の中にあって生きている喜びや、人間関係の難しさも経験できる。人の生は経験することに価値があり、毎日の成功や失敗を通して、感じて、気づき、目の前の相手を大事にしようとすることが人生だと、大きな存在に教えられる気がします。
義弟の結婚式に参列していて、私たちもちょうど20年前、双方の両親を始め、親戚や友人など多くの人に祝ってもらったことを思い出し、ありがたさで胸がいっぱいになりました。人との関係性の中にあって生きている喜びや、人間関係の難しさも経験できる。人の生は経験することに価値があり、毎日の成功や失敗を通して、感じて、気づき、目の前の相手を大事にしようとすることが人生だと、大きな存在に教えられる気がします。
五条ミショノウさやか

2004年からパリに在住。 家族は夫と娘が二人。 業界誌や講演録などの英日翻訳をしています。