チーズ会って楽しい!
: UPDATE /
昨年5月のコラム「綿雲の浮かぶ空を見上げる」で紹介したチーズ熟成士で販売員の岩田加奈子さん。彼女と知り合ったおかげで、これまで知らなかった珍しいチーズや知っていたけど新たな楽しみ方を知ることができたチーズがあります。
7月と10月に私の自宅にチーズを持ってきていただいてチーズ会をした時の様子をお伝えしながら、牛、ヤギ、羊のお乳を原料とするチーズのそれぞれに個性があり、同じ原料乳でもチーズによって見た目も食感も味わいも違うことを感じていただけたらと思います。
7月と10月に私の自宅にチーズを持ってきていただいてチーズ会をした時の様子をお伝えしながら、牛、ヤギ、羊のお乳を原料とするチーズのそれぞれに個性があり、同じ原料乳でもチーズによって見た目も食感も味わいも違うことを感じていただけたらと思います。

秋のチーズ会にて
ブリア・サヴァラン(Brillat-Savarin)
7~8種類の異なるチーズを用意した午後のチーズ会。家庭の食卓であれ、レストランであれこれだけの異なるチーズを一度に食べることはフランス人でもほぼありません。そこで来てもらった友人たちに昼食を抜いて来てくれるように前もって伝えました。

左がマイヤーレモンとカラスミをはさんで風味を加えたブリア・サヴァラン
チーズ会は食感、味わいとも軽めのチーズから始めました。加奈子さんがチーズについて説明をし、切り分けてサーブしてくれます。写真中央のブリー・ド・モーの後に、左のブリア・サヴァランをいただきました。3層になっているのが見えますか。チーズ店で加工をしてマイヤーレモン *1 とカラスミをはさんで風味を加えてあります。
このチーズは「美食礼賛」の著者ブリア=サヴァラン(Brillat-Savarin)の名前にちなんで90年以上前にアンリ・アンドルウイエ(Henri Androuët *2)が命名したチーズで、トリプルクレム(3倍クリーム)と呼ばれ、白カビタイプのチーズの中でも脂肪分が75%と高いものです。口溶けがよくフレッシュな味わい。すりおろしたマイヤーレモンの表皮の爽やかな香りとカラスミのコクがよく合います。加奈子さんが勤めるチーズ店のタカ&ヴェルモ *3 では、このブリア=サヴァランのようにひと手間を加えたオリジナルのチーズが得意だそうです。
*1 マイヤーレモンはオレンジとレモンの交雑種。酸味がマイルドで果汁が多い。
*2 Androuëtは創業100年を超えるチーズ店の老舗でパリと近郊に10数軒の店舗があります。
*3 Taka & Vermo パリ市内に2店。 Taka & Vermo Webサイト : https://takavermo.fr/
このチーズは「美食礼賛」の著者ブリア=サヴァラン(Brillat-Savarin)の名前にちなんで90年以上前にアンリ・アンドルウイエ(Henri Androuët *2)が命名したチーズで、トリプルクレム(3倍クリーム)と呼ばれ、白カビタイプのチーズの中でも脂肪分が75%と高いものです。口溶けがよくフレッシュな味わい。すりおろしたマイヤーレモンの表皮の爽やかな香りとカラスミのコクがよく合います。加奈子さんが勤めるチーズ店のタカ&ヴェルモ *3 では、このブリア=サヴァランのようにひと手間を加えたオリジナルのチーズが得意だそうです。
*1 マイヤーレモンはオレンジとレモンの交雑種。酸味がマイルドで果汁が多い。
*2 Androuëtは創業100年を超えるチーズ店の老舗でパリと近郊に10数軒の店舗があります。
*3 Taka & Vermo パリ市内に2店。 Taka & Vermo Webサイト : https://takavermo.fr/
チェダー・ブルトン(Cheddar Breton)
夏のチーズ会で初めて味わい、印象に残ったチェダー。元々イギリスの南西部サマーセット(Somerset)県のチェダーの谷で12世紀ごろに生まれたとされています。「チェダータイプ」のチーズはかつてイギリスの女王陛下の帝国に属していたアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカなどで作られ、消費されています。
チェダーは特殊な方法で作られています。「チェダリング」と呼ばれる工程で牛乳を加熱して凝固させた後、細かく切って塩を加えてしっかり混ぜ合わせ、布の中で成形します。だからポロポロとした独特の食感が生まれます。イギリスからはドーバー海峡を挟んで南側にあるフランス、ブルターニュ産のチェダー・ブルトンはコート=ダモール(Côtes d’Armor)県で生産されています。ブルトンは「ブルターニュの」という意味です。
チェダーは特殊な方法で作られています。「チェダリング」と呼ばれる工程で牛乳を加熱して凝固させた後、細かく切って塩を加えてしっかり混ぜ合わせ、布の中で成形します。だからポロポロとした独特の食感が生まれます。イギリスからはドーバー海峡を挟んで南側にあるフランス、ブルターニュ産のチェダー・ブルトンはコート=ダモール(Côtes d’Armor)県で生産されています。ブルトンは「ブルターニュの」という意味です。

左がチェダー・ブルトン
右の写真のようにクリーム色、アイボリー色で切り口にポロポロした構造が見える農家製のチェダーを食べたら、チェダーの印象が変わると思います。工場で生産されるチーズを否定するのではなく(私は子どもの頃のおやつがプロセスチーズでした!)農家製のチーズはそのチーズの本来の特徴がよく分かる感じがします。2022年から2年間もの長い時間熟成させたこのチェダーは複雑かつ深い味で、酸味はほとんど感じず、甘味もあって、もっと注目されていいチーズだと言えます。そう言っても、人気が出過ぎるのも困りますが。

チェダリングによるもろい構造が見える
モンドールのオーブン焼き
秋のチーズ会の締めくくりはコレ、モンドールのオーブン焼きです。加奈子さんのおすすめ通り、エピセアの木箱の側面とチーズの表面を指先につけた水で湿らせて180度のオーブンで10分。特にアルミホイルを被せず、予熱であたためたオーブンに入れました。モンドールが少し残った時にオーブンで焼いて食べたことはありましたが、最初から焼いてしまうなんて、贅沢な食べ方です!あたたかくとろけるモンドールのおいしいこと。すでに7種のチーズがかなりの量、お腹に入っていたにもかかわらず、来てくれた友人も私も食べることが好きな人ばかり。ほぼ完食しました(笑)
チーズが好きな人でも好みによって買うチーズの種類が大体決まっていたりするので、食べたことのないチーズは結構あるものです。だからチーズ会に来た日本人、フランス人、ブラジル人の親友たちはみな初めての味わいの期待に目を輝かせ、出されたチーズを完食し、終わった翌日に胃がもたれた人は一人もいませんでした。チーズは乳酸菌の働きで腸内の環境を改善し、整腸作用が期待できると言われます。
チーズが好きな人でも好みによって買うチーズの種類が大体決まっていたりするので、食べたことのないチーズは結構あるものです。だからチーズ会に来た日本人、フランス人、ブラジル人の親友たちはみな初めての味わいの期待に目を輝かせ、出されたチーズを完食し、終わった翌日に胃がもたれた人は一人もいませんでした。チーズは乳酸菌の働きで腸内の環境を改善し、整腸作用が期待できると言われます。

今回チーズ会で出したチーズは大方無殺菌乳から作られたもの。フランスに来ることがあれば、できればスーパーではなく、街のチーズ店に入ってみてください。もし気になるチーズが見つかったら牛乳、ヤギの乳、羊の乳、原料乳がなんであれ値札のチーズ名の後に「Lait Cru」(無殺菌乳製)と書いてあるかも確認してみてください。搾乳した隣の部屋でチーズ作りをするような、昔ながらの作り方をしたチーズにあたる確率も高くなります。それは質の高さに直結すると感じています。チーズ店の販売員はおいしいチーズを食べてほしいと思うチーズ愛にあふれる人が多いので、旅行期間にホテルの部屋で食べきれる量を少しだけ買いたい、というような注文にも快く答えてくれると思いますよ。