はじめてのインド ~ヒンドゥー教、牛とパニール、人々の魅力~
: UPDATE /
3週間のインド旅行からパリに戻ると、友人たちからは口々に「人生観は変わった?」と尋ねられました。確かに、生まれ育った日本とも20年暮らすフランスとも全く違う国というイメージがありました。
ヨガ合宿
晩秋のパリを発った翌日にインド北部のガンジス川の上流の山あい、ヨガで有名なリシュケシュに近いアナンダロックという場所に着きました。そこで一週間のヨガのリトリートに参加したのです。アナンダロックはヨガスタジオがある宿泊施設が一軒あるだけの隔絶された場所。舗装された道路がないので、ロバと人力で荷物を運びあげてもらい、私たちは徒歩で山道を登ります。

眼下にガンジス川を望む山道
朝晩は気温が下がるものの、日中は26度ほど。宿舎の庭にはバラやハイビスカスやブーゲンビリアの花が咲いていました。そして、その花々をスタッフが毎日摘んで、食堂前に置いた水盤に生けていました。満開の花を通して、スタッフの方々の歓迎の心が伝わってきて、穏やかで平和な気持ちになれました。
ヨガの内容については、このコラムの趣旨から離れてしまうため、多くは書きませんが、少しだけ。今回、B・K・S・アイアンガーというインドの方が創設した「アイアンガーヨガ * 」をキャサリン(トディ)・ヤング先生から習いました。ヨガの経験が少なく、柔軟でもなく慢性的腰痛持ちの私でも、ブロックやストラップ、毛布などを使って無理なくポーズを取れるという目から鱗の画期的なヨガでした。
* 日本アイアンガーヨガ協会
ヨガの内容については、このコラムの趣旨から離れてしまうため、多くは書きませんが、少しだけ。今回、B・K・S・アイアンガーというインドの方が創設した「アイアンガーヨガ * 」をキャサリン(トディ)・ヤング先生から習いました。ヨガの経験が少なく、柔軟でもなく慢性的腰痛持ちの私でも、ブロックやストラップ、毛布などを使って無理なくポーズを取れるという目から鱗の画期的なヨガでした。
* 日本アイアンガーヨガ協会

水を張った水盤に花を浮かべて楽しむのがインド風
インドについてのレクチャー
到着前に話はさかのぼります。パリからデリーへ向かう機内ではアメリカ・ミシガン州在住のアッサム出身の方と席が隣になりました。インドの歴史や地政学、お父上がアッサムで経営していたお茶園で過ごした少年時代の話など、非常に貴重なお話を伺いました。その方によれば、インドは旅行者の間でも好みがはっきりと分かれる国だそう。そう聞けば、せっかく行くのだから好きになれるといいなあと思うもの。
さて、インド旅行を終えて数週間が経ちました。人生観に変化はありませんが、五感への刺激が多いインドが好きになりました。出会った人たちが皆インドの魅力をそれぞれのやり方で伝えてくださったおかげです。
さて、インド旅行を終えて数週間が経ちました。人生観に変化はありませんが、五感への刺激が多いインドが好きになりました。出会った人たちが皆インドの魅力をそれぞれのやり方で伝えてくださったおかげです。
ハリドワールのアーティ

ハリドワールのアーティ
デリーに到着後、国内線でデラドゥン空港へ向かい、ガンジス川の上流に位置するハリドワールへ向かいました。ハリドワールはヒンドゥー教の聖地の一つ。そこで、ガンジス川の女神ガンガーに捧げる礼拝儀式「ガンガー・アーティ」に参加しました。毎朝毎夕行われるこの儀式。僧侶の掛け声に合わせて唱和する人々、時間を追うごとに盛り上がり高揚してゆく人々。彼らの一体感を目の当たりにしました。
ヒンドゥー教徒は、ガンジス川で沐浴すると罪が洗い流されると信じています。だからハリドワールやヴァラナシといった聖地では、下の写真のようにガンジス川のガート(沐浴場)で身体を水に浸す様子が一日中見られます。私も沐浴したのか知りたいですか?はい、アナンダロックで冷たい水に頭まで沈めました。この辺りは、ヒマラヤの氷河の水が流れ込む激流で、足をとられないように気をつけました。
続いて、ヒンドゥー教に関係した牛との関係や食文化として、旅行中に見たインドの牛や乳製品について感じたことをお伝えします。
ヒンドゥー教徒は、ガンジス川で沐浴すると罪が洗い流されると信じています。だからハリドワールやヴァラナシといった聖地では、下の写真のようにガンジス川のガート(沐浴場)で身体を水に浸す様子が一日中見られます。私も沐浴したのか知りたいですか?はい、アナンダロックで冷たい水に頭まで沈めました。この辺りは、ヒマラヤの氷河の水が流れ込む激流で、足をとられないように気をつけました。
続いて、ヒンドゥー教に関係した牛との関係や食文化として、旅行中に見たインドの牛や乳製品について感じたことをお伝えします。

ヴァラナシのガート(沐浴場)の巡礼者
インドのコブ牛
インドでは、自分のペースで道を歩き、時には横たわっている牛を至る所で見かけます。街中で見かける牛には、縄の首輪をした「放牧牛(主にメス)」と、首輪のない「野良牛(多くがオス)」がおり、毛艶や栄養状態でその違いが分かります。
ヨガをしたアナンダロック近隣の農場では、大きなコブを持つ雄牛(ゼブ牛というインドの在来種)に出会いました。このコブは栄養状態が良いほど大きく、筋肉と脂肪でできているそうです。農場の方は、雄牛が近づきすぎないよう気を配りつつ、柵の中の仔牛を撫でさせてくれました。小さなコブが仔牛のときからちゃんとあるのです。撫でながら、さりげなく触れると、弾力がありました。
ヨガをしたアナンダロック近隣の農場では、大きなコブを持つ雄牛(ゼブ牛というインドの在来種)に出会いました。このコブは栄養状態が良いほど大きく、筋肉と脂肪でできているそうです。農場の方は、雄牛が近づきすぎないよう気を配りつつ、柵の中の仔牛を撫でさせてくれました。小さなコブが仔牛のときからちゃんとあるのです。撫でながら、さりげなく触れると、弾力がありました。

農場のゼブ牛の雄牛
道路という名のジャングル
首都デリー中心部を除き、インドの道路は常に牛や野良犬が歩いています。車と接触しそうだったり、牛同士の喧嘩を目の当たりにするとハラハラしますが、インドの人にとっては日常的なことで、私の感情は旅行者の感傷に過ぎないのかもしれません。
また、絶え間なく鳴り響くクラクションと整備が行き届かない歩道も印象的でした。車やバイクが擦り抜ける道の端っこを、水たまりや糞を避けながら歩くのは非常にスリリング。心休まる暇もありません。「ヨーロッパのように散歩を楽しめる環境が羨ましい」という現地のカップルの言葉にも、深く納得しました。
また、絶え間なく鳴り響くクラクションと整備が行き届かない歩道も印象的でした。車やバイクが擦り抜ける道の端っこを、水たまりや糞を避けながら歩くのは非常にスリリング。心休まる暇もありません。「ヨーロッパのように散歩を楽しめる環境が羨ましい」という現地のカップルの言葉にも、深く納得しました。

交通量の多い道路を渡る水牛
生活に根付く乳製品
インドは世界最大の人口を誇り、水牛の乳と牛乳は宗教を問わず広く飲まれています。特に濃く入れた紅茶に生姜とスパイスを加え牛乳を加えて煮出した濃厚なチャイは有名ですね。また、バターを溶かして不純物を取り除いたギーやインド風カッテージチーズのパニールも一般的です。
ギーは炒め物など料理に使いますが、出来上がった料理を食べる際にひと匙加えたりもします。ティースプーンひと匙を飲み込んで喉を潤したり、鼻の粘膜に塗ったりもします。消化を助け、抗酸化作用があると伝統医学アユールベーダでは考えられているそうなのです。
ギーは炒め物など料理に使いますが、出来上がった料理を食べる際にひと匙加えたりもします。ティースプーンひと匙を飲み込んで喉を潤したり、鼻の粘膜に塗ったりもします。消化を助け、抗酸化作用があると伝統医学アユールベーダでは考えられているそうなのです。

一口サイズに切ったパニールが入ったカレー
レンズ豆のダール、オクラの炒め物、小さなナスのグリル
インドで食べるパニールはとてもおいしく、スパイスをまぶして串焼きにした「パニール・ティカ」は絶品でした。本来、チーズ作りには仔牛の胃から抽出されたレンネットが使われます。しかし牛を神聖視するインドではレンネットを使わず、レモン汁で凝乳するパニールやギー、ヨーグルトなどの形で乳製品文化が発展したのではないかと感じました。

パニールが入った野菜のビリヤーニ
ヨーグルトソースのライタを添えて
インドの若い人
今回のインド旅行中、どの街でもインドの特に若者や子どもたちが熱心に話しかけてくれ、一緒に写真を撮ってと頼まれました。街に若者が多く活気あふれるところに、インドの年齢中央値が28.8歳であることを肌で感じました。また旅行者は珍しくないと思うのに、話しかけてくれることもうれしかったです。

遠足中の校長先生と中学生
一方で、町外れの大きなスラム街のそばを通ることもありましたし、観光地では身なりの貧しい子どもたちにお金を求められることもありました。2026年には日本を抜き、世界第4位の経済大国になるとされるインドを旅して、経済成長と貧富の差を同時に目の当たりにすることになりました。ダイナミックに変化するインドを旅行者として見られたことは貴重な経験をしたと思います。
お腹が弱い人でも旅行できる
最後に余談ですが私が高校生から大学生になった90年代前半、バックパックを背負ってインドへ一人旅をすることが流行していました。しかし、幼少期からお腹が弱かった私にとって、インドは最も避けたい旅行先の一つでした。
今回、インドを訪れるにあたり、旅行の少し前からプロバイオティクスのサプリメントを摂取しました。また、生水を避け、屋台の食べ物も控えた結果、一度もお腹を壊すことなく過ごすことができました。私と同じような不安を抱えている方がインドを訪れる際の、ささやかな後押しになれば幸いです。インドは菜食の方が多いので、ベジタリアン料理が(個人の感想ですが)世界一おいしく、広大な国土に長い歴史があるので見どころがたくさんあります。フレンドリーな人との出会いも大きな魅力。私ももう一度行きたいと熱望しています!
今回、インドを訪れるにあたり、旅行の少し前からプロバイオティクスのサプリメントを摂取しました。また、生水を避け、屋台の食べ物も控えた結果、一度もお腹を壊すことなく過ごすことができました。私と同じような不安を抱えている方がインドを訪れる際の、ささやかな後押しになれば幸いです。インドは菜食の方が多いので、ベジタリアン料理が(個人の感想ですが)世界一おいしく、広大な国土に長い歴史があるので見どころがたくさんあります。フレンドリーな人との出会いも大きな魅力。私ももう一度行きたいと熱望しています!