一滴の水

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向夏

5月になるとマルシェに見かける野生のアスパラガス 5月になるとマルシェに見かける野生のアスパラガス
asperge sauvage(アスペルジュ・ソヴァージュ)

パリは初夏の爽やかなお天気ですが、日本の皆さまはいかがお過ごしでしょうか。

先日、長女の通う中学、高等学校で、日本語科の日本祭と卒業式がありました。
卒業式の手伝いに向けて、振袖の着付けを着付けサークルのお母さん方に教わって数ヶ月。 卒業式当日は二人一組で卒業生のお嬢さん方に振袖を着付けました。娘や娘のお友達に卒業式で着付けてあげられる日まで、練習を積んでもっと上手になりたいです。

これからパリは7月、8月のヴァカンスに向けて、働く人も学生も年度末の忙しい日々となります。

楽屋にて。上手な友人の着付け 楽屋にて。上手な友人の着付け。美しいお顔をお見せできないのが残念!

フォンテーヌブロー

フォンテーヌブローというフレッシュチーズをご存知ですか?フロマージュ・ブランにホイップした生クリームを混ぜ込んだものです。プラスティックカップに入ってチーズ店で売られています。ガーゼを敷いて水切りをしてあります。このフレッシュチーズは、パリのあるイル・ド・フランス地方で作られており、名前はフォンテーヌブローの森のイメージでつけられた、と手元のチーズ案内書「フロマージュ」磯川まどか著にあります。

フォンテーヌブロー Fontainebleau(フォンテーヌブロー)
品名フォンテーヌブロー
Fontainebleau
種類フレッシュチーズ
産地イル・ド・フランス地方
原料乳牛乳

フロマージュ・ブランとホイップクリームを混ぜるのだったら自宅でも用意できるのではと思われた方、その通りです。フロマージュ・ブランとホイップしたクリームが合わさったフワフワした食感と爽やかさは、春から初夏のデザートにぴったりだと思います。いちごやフランボワーズなどの赤い果実や果実のピュレを添えていただいてもおいしいですし、これからの季節にはネクタリンや桃と一緒にいただいても合いそうです。磯川まどかさんの著書には、アイリッシュクリーム(Irish cream)やショコラ・アメール(Chocolat amer=ビターチョコレート)をかけて、デザートにするアイディアが紹介されています。う〜ん、大人のデザートですね。砂糖は入っていないので、お好みで加えてください。

レスタン

こちらはブルビ(fromage de brebis:羊のミルクで作ったチーズ)です。表皮のカビが花畑のように見えます。ブルビというと、私はコクのあるイメージがあるのですが、レスタンは穏やかで柔らかく、なめらかな食感です。Bergers du Larzac(ベルジェ・デュ・ラルザック)というチーズ生産者の協同組合が作っています。

レスタン L’Estaing(レスタン)
品名レスタン
L’Estaing
種類セミハードタイプ(非加熱圧搾タイプ)
産地フランス、ミディ・ピレネー地方
原料乳羊のミルク

ニューヨークの休日

「そぞろ神の物につきて心くるわせ、道祖神の招きにあひて、取るもの手につかず」このように「おくのほそ道」で書いた松尾芭蕉の心のうちはどうだったのか分かりませんが、「春立てる霞の空」を見れば、我々も旅行に出かけたい気持ちになります。4月始めのニューヨークは天気が変わりやすかったものの、マンハッタンを縦横に歩き回り、地区ごとに変わる街並みや雰囲気を楽しみました。

ブルックリン橋 ブルックリン橋をマンハッタンへ歩いて渡る

一生かけても全部の収蔵作品を見られないと言われるメトロポリタン美術館(The Metropolitan Museum of Art)もアメリカのポップ・アーティストの有名作品をたくさん見られるニューヨーク近代美術館(MOMA)もそれぞれ楽しみましたが、ニューヨークで一番良かった美術館は、グッゲンハイム美術館です。フランク・ロイド・ライトが設計した中央が吹き抜けの螺旋状の建物と現代アートを同時に楽しめるのです。

ラクレット ブルックリン・スモーガスバーグにて ラクレット

今回ニューヨークの後に訪れたボストンのボストン美術館(Museum of Fine Arts, Boston)も含め、フラッシュなしの写真撮影が許可されているところが多く、見学者は気になる作品の前でスマホを出していました。(私もその一人)ちなみにボストン美術館はアメリカで最も有名な美術館の一つですが、ニューヨークのメッツやMOMAと違い、私が行った時は入り口でも並びませんでしたし、平日の午前中の館内はとても空いていました。別行動をしてお昼に家族で合流することにしたため、時間があまりなく館内図とにらめっこして印象派など一部だけ見たので、次は日本美術のコレクションをじっくり見たいです。

キャンベルスープ MOMAにて アンディ・ウォーホール キャンベルスープ缶(Cambell’s Soup Cans)

 

ボストン ボストン美術館にて モネ ラ・ジャポネーズ / ルノワール ブージャヴァルのダンス

5年に1度の大統領選が終わり、パリは落ち着きを取り戻した感じがします。一方、イギリス、マンチェスターでテロがあり、多くの方が負傷されたり亡くなられました。子供や孫の世代、その先に続く世代の人々が安心して暮らせる世界を願い、自分が産まれた時の世界よりも、死ぬ時には少し良い世界になるように、潮流を作り出す。自分も含めて一人一人の人間は、その潮流の水の一滴だという気がしています。 また、次回のコラムでお会いしましょう。

ロブスターロール ボストン名物 ロブスター・ロール
五条ミショノウさやか

2004年からパリに在住。 家族は夫と娘が二人。 業界誌や講演録などの英日翻訳をしています。