紺青の空の下〜ワールドカップから蚤の市、建築展まで

: UPDATE /

レ・ブルーとサムライ・ブルー

6月の我が家の窓辺の景色は、紺青の夏空を背景にベランダで実をならせるトマトとイチゴです。晴れた週末の昼間にイチゴを摘んでいると、やけに周囲が静かです。それもそのはず、ロシア・ワールドカップの開催中で、フランスチームの試合中でした。普段サッカーにあまり興味がなくても日本の試合は気になります。愛称がどちらも「ブルー」の日本とフランスの対戦が決勝トーナメントで見られると楽しいでしょうね。

蚤の市ヴァンヴ 蚤の市にて

気候の爽やかなこんな時期にパリにいらしたら、観光ついでに蚤の市をご覧になってはいかがでしょうか。『小さな一皿フレンチレシピ』と名付けたフランス料理の教室を自宅で開催されるO先生は、たくさんの鋳物の鍋をお持ちで、教室でも頻繁に使われています。

蚤の市その2ヴァンヴ 蚤の市にて(O先生撮影)

黄色やオレンジの鍋はご自宅に近いヴァンヴの蚤の市で買い求められたものだそうです。先生が蚤の市を案内してくださることになったので、日曜日の朝、トラムのポルト・ド・ヴァンヴ(Porte de Vanves)の駅前で待ち合わせ、蚤の市を一緒に訪れました。「ヴァンヴの蚤の市(Marché aux puces Vanves)」は、年間を通して毎週土曜日と日曜日の朝から昼過ぎ頃まで開かれています。その日は食器や銀のカトラリーがたくさん出ていましたが、鍋は残念ながら出ていませんでした。蚤の市は観光スポットになっているのか、買い付けといった風情の人や何人もの日本の観光客の方とすれ違いました。柴田理恵さんと、ともさかりえさんが別々のスタンドで買い物をしている様子を日本のテレビクルーが撮影していたのに遭遇しました。どんな風に蚤の市が紹介されるのか、放映された番組をご覧になったら教えてください。

Junya ISHIGAMI Freeing Architecture

非常に面白い展覧会に行きました!パリ14区のカルティエ現代美術財団で2018年9月9日まで延長開催中、建築家石上純也さんの展示会です。石上さんの「自由な建築」の数々を試作模型と写真、ビデオで見られます。展示の模型や設計図を眺めると、建築家の丁寧な思考の跡が窺えます。各模型と合わせて展示されている石上さんの手書きのコメントが、かわいい文字の雰囲気も合わせて味わいがありました。読むとアーティストとして心に浮かぶイメージを実際の建築として実現されたのが分かります。緩やかなカーブや曲線からなるユニークな建築物が、その土地の環境や歴史、またそこを使用する人と一体となっていて、こんな建築を見るのは初めて!と驚きに満ちた体験ができる展覧会です。

平和の家コペンハーゲンの「平和の家」模型
山口県宇部市の住居兼レストラン模型山口県宇部市の住居兼レストラン模型

*『JUNYA ISHIGAMI FREEING ARCHITECTURE』
カルティエ現代美術財団(Fondation Cartier)
261, Boulevard Raspail, 75014 Paris
TEL: (33)1 42 18 56 50
11時〜20時(火曜〜22時)月曜休
入場料10.50ユーロ
2018年9月9日まで

33℃

「夏は涼しく、冬も暖流と偏西風によって暖かい空気が送られているため大陸東岸よりは緯度の割に寒くない」ウィキペディアで西岸海洋性気候の特徴はこう書かれています。冬、緯度の割に寒くないというのはその通りです。しかし6月末の現在、日中の最高気温は30度前後、週末は33度まで上がると予報にあり、西ヨーロッパの夏は涼しい、と一概に言えなくなってきているように思えます。こちらは中学校、高等学校が6月中旬から夏休みに入るところが多く、小学校も7月初旬から休みに入ります。口々に夏のヴァカンスを話題にする、珍しく機嫌の良いパリジャンたちと、からりと晴れた日の夕方にチーズとワインを楽しむ機会が増えるのも6月です。

従弟(左)の40歳の誕生日、生まれ年1978年のシャトー・タルボを手に父親と
従弟(左)の40歳の誕生日
生まれ年1978年のシャトー・タルボを手に父親と
カンタル、サン・フェリシアン、ロンダン左から時計回りにカンタル、サン・フェリシアン、ロンダン

そこで初夏にぴったりな 軽めの口当たりのチーズを3品紹介します。 写真の左上はカンタル。古代ローマの大プリニウスの博物誌にも記載があり、フランス最古とも言われる大変古いチーズです。ホクっとした口当たりで、素朴で優しい味わいが2000年以上愛され続け食べられてきた理由かもしれません。兄弟チーズと言われるサレルスとは製法が同じで、夏の放牧で作られるものをサレルスと呼ぶそうです。前回のコラムで紹介したブルー・ド・ラクイユと同じオーヴェルニュ地方のチーズです。

品名カンタル Cantal AOP
種類セミハードタイプ
産地オーヴェルニュ地方カンタル、アヴェロン、コレーズ、オート=ロワール、ピュイ・ド・ドーム
原料乳牛乳(生乳か殺菌乳)


写真右のサン・フェリシアンは、より小型のサン・マルスランとよく似たチーズです。とろりとクリーミーで、中身が流れ出さないよう写真のように木や陶器、プラスチックの容器に入っています。写真のものは牛乳製で、ナイフで切るよりもスプーンを出してしまうほど柔らかです。山羊乳製が本来の原料乳なのか、手元のチーズ図鑑(文藝春秋)にはサンフェリシアン・ド・ラマストル、山羊の生乳製とあります。機会があれば山羊乳製のものも試してみたいです。

品名サン=フェリシアン Saint-Félicien
種類白カビ / シェーブル
産地ラングドック地方、ヴィヴァレ地方
原料乳牛乳製/山羊の生乳


写真左のシェーブル、ロンダンは、ロカマドールがカチカチだよとチーズ売り場の店員が言うので、じゃあこっちという感じで事前知識なしに購入しました。フレッシュできめ細やか、ミルクの優しい味わいのシェーブルでした。カンタルは赤ワインに向いていそうですが、こちらのシェーブルは辛口の白ワインやシャンパンと合わせて楽しむのに向いていそうです。

品名ロンダン Rondin
種類シェーブル
産地ピレネー地方
原料乳山羊の生乳


ヴァカンスの過ごし方にその人の個性が表れるフランス。気がつけばこちらに越してきて14年が経とうとしています。嵐の後は水量を増し激しく、普段は緩やかに流れるセーヌ川の「川の流れのように」おだやかな生活を楽しんでいます。
私の故郷である大阪北部地震で被災された皆さまに心からお見舞い申し上げます。皆さまの安全と、一日も早い復興をお祈り申し上げます。

セーヌ川にかかるパリ最古の橋ポン・ヌフ(Pont Neuf)とシテ島セーヌ川にかかるパリ最古の橋ポン・ヌフ(Pont Neuf)とシテ島
五条ミショノウさやか

2004年からパリに在住。 家族は夫と娘が二人。 業界誌や講演録などの英日翻訳をしています。