春の珍客と黄昏(たそがれ)時のエッフェル塔

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お気に入りのチーズボード

ねずみのチーズグッズ

これは何だか分かりますか。チーズボードとナイフ、フォークのセットです。
木でできたねずみと革製の耳とつぶらな瞳が何とも言えず、かわいい♪ と去年の夫の誕生日プレゼントに買いました。 イソイソと箱から出して使うのは私ですが。
右の平べったいナイフは下の写真のコンテのようなハードチーズを切るのにちょうど良い形ですが、 機能性よりも見た目重視の小物です。こんな風に気に入った小物があると、チーズの時間も一層楽しくなります。

さまざまなチーズたち 左から
コンテ・ドゥー Comté Doux
ボンド・ド・ガティン Bonde de Gâtine
サクラ・ノ・ハ Sakura no ha
クロミエ Coulommiers

コンテ・ドゥー Comté Doux

よく買うのはDouxと呼ぶ熟成8~10ヶ月くらいのものです。 一方、12〜14ヶ月くらい熟成させたものは、Fruité(フリュイテ)と呼ばれています。 熟成が進み、アミノ酸の結晶がジャリっと感じられておいしいのです。おつまみにも、子どものおやつにも、といろんなシーンで楽しめる、万能かつ便利なチーズです。 フランス中どこでも買えますが、熟成士のいるチーズ店で買う方が質と味が確かです。

ボンド・ド・ガティン Bonde de Gâtine

ボンド・ド・ガティンは春から秋が旬の、無殺菌乳を使った農家製シェーブルで、フランスの西部ポワトゥー=シャラント地方で生産されています。 シャロレ(Charloais)やクラックビトゥー(Clacbitou)系とでも呼びたい、ナイフを入れると少し抵抗がある固さの、身の詰まったシェーブルです。 5年前の2014年4月のコラムで取り上げたので詳細はそちらをご覧ください。
*1 http://www.f-r-m.co.jp/cheeseletter/201404-02/

サクラ・ノ・ハ Sakura no ha

塩漬けの桜の葉を挟んだ「Sakura no ha」は羊の無殺菌乳でできた農家製ブルビです。 ブルビですが、シェーブルのようなクリーミーな熟成で、あるようでなかったユニークなチーズです。 Fabrice Aznarez(ファブリス・アズナレズ)氏の父親と日本人のシェフとの出会いがきっかけで、このユニークなブルビが生まれました。
*2 https://sakura-le-fromage.fr/a-la-feuille-de-cerisier.html (フランス語)

旬のシェーブル旬のシェーブルいろいろ マルシェのチーズ屋にて

春の珍客

チーズで有名なクロミエにも近い田舎の家の庭に、最近珍しいお客さんが住み着きました。
4月後半の連休にパリから着いた日の午後、夫が大きな犬か、何かが庭にいると言うのです。だだっ広い庭の三方は木が茂り、金網のフェンスもあるのに、犬なんか入ってこないでしょう、なんて気にも留めませんでした。
翌朝夫が「あ!!!あれ、鹿だ!」と言うので、ガラスのドア越しに庭を見ると、いました!!去年生まれた若い鹿でしょうか。日本に生息するニホンジカとは違い、赤っぽい色をしています。 何年も前に一度、散歩中に大きな雄鹿に出くわしたので、この辺りに鹿がいることは知っていましたが、庭に入ってきたのはもちろんこれが初めてです。 庭に樫の古木が何本かあり、どうもその新芽や庭の若草を食べている様子。
あれから1ヶ月、「まだいるよ」と義父が伝えてくれました。 義父が言うには、今日の鹿のメニューは「カシスの葉っぱ」だそうです。何本かあるカシスの葉っぱは、全部食べられてしまったそうです。とは言え、こんなかわいいお客さんには、のんびりと滞在してほしいものです。

庭に訪れた若鹿

エッフェル塔の黄昏時

先週から今週にかけて8日間、ベルリンの高校生アナが我が家にホームステイしました。 ルーブル美術館やオルセー美術館、セーヌ川の観光船やヴェルサイユ宮殿は、ベルリンから生徒を引率してこられた先生方や同級生らと訪問の予定があるとのこと。
しかし、エッフェル塔は予定には入っていないそうで、長女を通して行きたいと聞いていました。そこで彼女が到着する2週間以上前にエッフェル塔のウェブサイトを見ると、日中のチケットが概ね売り切れです。 仕方なく空いていた20時のチケットを予約しました。テロの後、厳重になったセキュリティを通り、エレベーターで最上階の展望台まで上がると、黄昏の空と群青色に染まった都市が息をのむほどきれいです。 1889年のパリ万国博覧会で建設されてから、エッフェル塔は今年で130周年を迎えます。

エッフェル塔からの景色エッフェル塔展望台から見るシャイヨー宮とトロカデロ庭園(手前)と
高層ビルが林立するラ・デファンス(後方)

最上階の展望フロアにはギュスターヴ・エッフェルの私室の一部が、ガラス張りで公開されています。壁には、日本語で書いた賞状らしきものがあります。
大日本帝国の文字が見えたので驚き、ガラスに近づいてよく見ると大正6年、1917年に大正天皇からエッフェルに送られた勲章状でした。
大正天皇の「嘉仁(よしひと)」とご署名もありました。この場所に、このようなものがあることは全く知らなかったので、びっくりしました。 100年前のフランス人技師で建設会社の社長だったエッフェルが当時の日本の天皇陛下に特別に尊敬の念を持っていたことが、ストレートに伝わってきました。 新しい天皇陛下がご即位され、元号が令和に変わってもうすぐ1ヶ月です。長い歴史を持つ日本に生まれたことを晴れやかな気持ちで誇れる、そんな気がしました。

五条ミショノウさやか

2004年からパリに在住。 家族は夫と娘が二人。 業界誌や講演録などの英日翻訳をしています。