長い冬の終わりに

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ブリュッセルの街歩き

昨年末、クリスマス休暇の4日間を義弟の住むベルギーのブリュッセルで過ごしました。パリからブリュッセルまで特急タリスで1時間20分あまりです。
街自体の見所は大体中心部に固まっていますし、食事もスイーツもおいしくてパリより少し安い上、ショッピングをすれば店の人の対応がパリとは段違いに温かいので、私にとっては行く度にくつろげる好感度の高い街です。

クリスマス休暇中とあって夕方になってもマルシェ・ド・ノエル(クリスマス・マーケット)や街の中心の広場グラン・プラスは家族連れや観光客でにぎわっていました。グラン・プラスではヨーロッパの12月の風物詩、キリストの降誕を再現した大型のクレッシュ・ド・ノエル Crèche de Noël も飾られ、集まる人の目を楽しませていました。

世界遺産のグラン・プラス

 

キリストの生誕を再現したクレッシュ

スイーツ好きにはたまらない!

ブリュッセルに着いた翌日、ゴディバやヴィタメールなどチョコレートの有名店が並ぶサブロン広場に行きました。ピエール・マルコリーニでチョコレートの詰め合わせを数箱買うのに12、3分ほど店にいたと思います。その間、店の入り口近くで、奥で、2階でにこやかな店員さん達に次々に試食のプレートを差し出され私も家族も一つ一つデリケートなフレーバーチョコを5個はいただいたでしょうか。お昼前だというのに血糖値が上がってハイになってしまいました。またベルギーに行きたいと思うのは、買い物が楽しくなるような、食事がいっそうおいしく感じられるようなよいサービスに出会えるからです。日本の皆さんには当たり前の「サービス」ですが、パリではがっかりさせられることもあります。

楽しいチョコレート店巡りを終え、家族と待ち合わせをしていた*1オ・ビュー・サン・マルタン Au Vieux Saint Martin でランチを楽しみました。フィッシュアンドチップスや、小エビのクリームコロッケなど子どもも一緒に楽しめるお料理からフレンチのクラッシックまでメニューに並びますが、サービスも気取らない雰囲気も申し分なくこれまた満足。食事後はレストランの隣のインテリアの店*2フラマン Flamant でノエルのデコレーションや、テーブル・セッティングに目がハートになりました。

グラン・プラス付近に戻ってきたら「会社の人に土産を買いたい」と夫が言います。グランプラス付近に数店舗ある老舗のビスケット屋*3ダンドア Dandoy でシナモンの香りの効いたスペキュロス(キャラメルとスパイス風味のビスケット)の詰め合わせを購入しました。日持ちがしますし、白地に金の水玉模様の箱もかわいくお土産には最適です。余談ですがここ数年、スペキュロスのペーストやアイスクリームが次々発売されたりして、スペキュロスブームが続いています。ダンドアはティーサロンを併設する店舗もあり、ゆっくり座って熱々ゴーフル(ワッフル)を楽しめます。もちろん街の屋台のゴーフル屋で買ったゴーフルを歩きながらほおばるのもいいものです。

ダンドア

*1 オ・ヴュー・サンマルタン Au Vieux Saint Martin
 38 Grand Sablon
 1000 Brussels
 Tel: +32(0)2 512 64 76
 http://www.auvieuxsaintmartin.be/en/

*2 フラマン Flamant
 36 PLACE DU GRAND SABLON
 1000 BRUSSEL
 BELGIUM
 TEL. +32 (0)2 514 47 07
 FAX +32 (0)2 514 47 97
 http://www.flamant.com/flamant/

*3 ダンドア DANDOY
 14, rue Charles Buls Brussels
 Tel: +32 (0)2 512 65 88
 http://www.biscuiteriedandoy.be
 日本語 http://www.maisondandoy.com/ja/home/

ノエルのディナー

シックでおしゃれなグレー、銀、黒、白を基調とするノエルのデコレーションをインテリアショップのフラマンで見てきたイブの夕方、義弟の家に戻ってきてハッとしました。すっかり飾り終えたテーブル・セッティングは、さきほど店で見たのと同じ色のトーンです。聞いてみればツリーの飾りからろうそくからすべてフラマンで揃えたとのことで納得しました。

サーモンとマンゴーのヴェリーヌ

シャンパンがならび、アペリティフになるとテーブルは華やかさを増します。 ノエルのメインは七面鳥とバターナッツかぼちゃのピュレでしたが、実は写真を取り損ねました。写真は別の日に自宅で作った鴨胸肉のロースト ぶどうのソースです。付け合わせはキノコのマリネと潰しジャガイモのサラダ、アンディーブのブレゼ。このレシピはパリ在住料理研究家の*4大宮香奈さんに習って以来、非常に気に入りリピートしています。

*4 大宮香奈さんブログ アンディーブブレゼ
http://orange.ap.teacup.com/paris/138.html

サーモンとマンゴーのヴェリーヌ

 

鴨胸肉ロースト ぶどうのソース

 

ベルギーチーズの入ったプラトー・デ・フロマージュ

食事を締めくくるプラトー・デュ・フロマージュにもベルギーチーズが並びました。左奥は立方体の Herve Doux エルヴェ・ドゥ Doux=甘い、デリケートいうだけあり、ウオッシュタイプの見た目ほど匂いもクセもありませんでした。真ん中奥は Chimay Grand Cru シメイ。シメイと言えばトラピスト会修道院で伝統的に作られてきたビールで有名ですが、このチーズも修道院の農場で集めた牛乳を修道院内の地下貯蔵室で熟成させて作られてきたものだそうです。シメイチーズとシメイビールのマリアージュなんて食べる方も飲む方も止まらなくなりそうですね。

ソチオリンピック

雪と氷のスポーツの祭典、ソチオリンピックが開催中です。パリよりも5度から10度も気温の高い温暖なソチでは、スキーやスノーボードのコースの雪が軟らかく選手もコースの整備も大変だそうです。

フランスのテレビでは当然自国選手を取り上げます。*5バイアスロンで Martin Fourcade 選手が2つの金メダルをとり話題になりました。欧州ではクロスカントリーとライフル射撃(立射、伏射)を組み合わせたこの競技、シーズン中は毎週レースがあるなど環境が整っており、賞金レースで稼ぐプロもいるそうです。

フランスのテレビ中継では日本人選手の活躍をじっくり見られないことも多いのですが、それでも銀メダルを取った葛西選手のジャンプやモーグルの上村愛子選手の滑りには圧倒されました。スノーボードでは15歳2ヶ月の平野歩夢選手が銀メダル、18歳の平岡卓選手銅メダルをとりました。まだ顔に少年のあどけなさの残る二人のパフォーマンスに酔いしれる一方、フランスのテレビ中継でも優勝候補として名前を連呼していたスキージャンプの17歳の高梨沙羅さんがまさかの4位。フィギュアスケートの羽生結弦選手はショートプログラムで国際大会史上初の最高得点をマークした後、フリープログラムでは転倒にも関わらず金メダルをとりました。外国暮らしをしているからこそ、日本人選手の応援にひときわ力が入ってしまう気がします。パリとソチとの時差はマイナス3時間と少ないため、競技の多くを夕方にテレビで楽しめます。日本人選手の活躍が止まらない今回のソチオリンピック。ソチプラス5時間の時差のある日本の皆さんにはまだしばらく寝不足の日々が続きそうですね。

*5 バイアスロン 日本オリンピック委員会HP
http://www.joc.or.jp/sports/biathlon.html

冬期間限定チーズ

モン・ドール(黄金の山の意味)はフランスとスイスの国境のジュラ山脈にあります。モン・ドールはフランス人がフェットに食べるのを楽しみにしているチーズです。というのは、モン・ドールの製造期間は8月15日から翌年3月15日までと定められているからです。そのままでは形を保てないほど軟らかくエピセアの木の皮で巻いてあり、エピセアか、もみの木の木箱に入って出荷されます。

モン・ドールはフランスとスイスでそれぞれ作られていますが、スイスのモン・ドールは殺菌乳製でヴァシュラン・モン・ドール Vacherin Mont d’Or と言います。少しややこしいのですが、フランスのモン・ドールAOPは別名ヴァシュラン・デュ・オー=ドゥー Vacherin du Haut Doubs と呼ばれています。

食べる数時間前に冷蔵庫から出して、上の表皮を切り取ります。表皮はチーズ店で切り取ってくれますが、自分で切るのも難しくはありません。スプーンですくってバゲットや田舎パン、クルミパンなどにのせていただきます。つやつや、トロトロでミルクのまろやかな風味とコクがあります。最後に底に残ったチーズはさっとオーブンやオーブントースターで焼けば無駄なくおいしくいただけます。(こげないように木箱の部分はアルミ箔で覆った方がいいかもしれません)

Roland Barthelemy著のチーズ辞典“Guide du Fromage”によればモン・ドールを作っている製造所は12カ所ほどあるそうですがモン・ドールの製造期間外にはコンテやモービエやラクレットを作っているそうです。

参考にしたチーズ辞典:
“Guide du fromage ”Roland Berthélemy et Arnaud Sperat-Czar著 Hachette Pratique
“Les Guide des Fromages Connaître, Acheter, Déguster” Catherine Payen et Michel Barberousse著Milan

名称 モン・ドール Mont d’Or
産地 フランシュ=コンテ地方 ドゥー県
原材料 牛乳(無殺菌乳)
熟成 3週間 ~ 1ヶ月
大きさ 直径 12-30cm、高さ 4-5cm
重さ 500g ~ 1kg
製造期間 8月15日 ~ 翌3月15日
モン・ドール

雪と氷の季節

昨年12月から断続的に続いている北米の大寒波のニュースをご覧になられた方もおられると思いますが、ヨーロッパは反対に暖冬です。*6毎冬北米からヨーロッパへ向けてタンカーで輸送される家庭用暖房用石油は、この冬はヨーロッパから北米にタンカー輸送されるという逆の減少が起きているそうです。

暖冬のパリではこの冬まだ雪が降っていませんが、打って変わって日本では大雪で交通が大混乱とのニュースが続いています。遠方からおせっかいなアドバイスですが、*7雪の日や翌日に外出される際は スノーシューズやスノーブーツで足下を固め、帽子、マフラー、手袋でしっかりと防寒してください。視界を遮り、片手が塞がってしまう上に吹き降りでは使えない傘ではなく、帽子やゴーグルで頭部を守るのも手です。荷物はバックパックにまとめて両手を空けるのも、とっさの時に手を使えるのでいいと思います。モノクロの長い冬の終わりに 花屋の店先で一足先に春を告げる水仙やミモザ、チューリップの花を見て春の訪れを待ちこがれるパリからお伝えしました。

*6 Sankei Biz 暖房油、寒波受け逆転減少 米国 “割安”欧州産の輸入増
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/140208/mcb1402080501003-n1.htm
*7 日経トレンディ “急な雪にスニーカー”は間違い!? すぐできる「転倒対策」を伝授
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20131212/1054061/

五条ミショノウさやか

2004年からパリに在住。 家族は夫と娘が二人。 業界誌や講演録などの英日翻訳をしています。